月30時間の残業がゼロに。
ノンコア業務をなくし、経営判断の質を高められる組織体制へ
株式会社ドトール・日レスホールディングスのグループ会社であるD&N Singapore Pte. Ltd.は、現在シン
ガポールで6店舗の直営店を運営するとともに、東南アジアにおけるフランチャイズ店計12店舗の統括管
理を行っています。コロナ禍での経理体制の見直しを背景に2021年からBill Oneを利用する同社に、運
用定着までの取り組みや導入後の効果についてお話を伺いました。
目 的
- 手入力を前提としない請求書処理フローへの転換
- 少人数でも安定して回る経理体制の構築
- 正確な経営数値の早期把握
課 題
- 紙の請求書受領とExcel集計に依存した非効率な運用
- 人的ミスによる支払い遅延・漏れの発生
- 月次決算の遅れによる経営判断の遅延
効 果
- 手入力解消により月間約30時間の残業がゼロに
- 経理業務を標準化し、休暇を取得しやすい体制へ
- 月次決算の前倒しによる経営判断の迅速化
テクノロジーによる組織力強化。
その第一歩としてSansanを導入
[ お話を伺った方 ]
坂井 健悟 様 / Managing Director
Janet Kok 様 / Senior Finance Manager
Chan Mei Feng 様 / Assistant Accounts Manager
現場や経理での作業負荷や手戻りが重なり、月次決算が遅れ、
問題発見や経営判断までが後ろ倒しになっていました
事業内容について
坂井様 当社は2012年にシンガポールへ進出し、現在はシンガポールで6店舗の直営店の運営と、東南アジアのフランチャイズ計12店舗の管理をしています。
現場の非効率が
経営にも負の連鎖を生んでいた
Bil One導入前は、各店舗ごとに、牛乳や卵などの納品物と一緒に紙の請求書を受け取っていました。検品が終わると、原価把握のために請求書に記載された金額をExcelに入れて報告をするという運用でした。しかし、現場にはPC操作に慣れていないスタッフも多く、入力作業に多くの時間を要するうえ、転記ミスも頻発しており、業務効率の観点から課題があったと認識しています。
また請求書は、毎週1度、店舗ごとにまとめて経理担当者がいるオフィスへ送付する仕組みでしたが、送付遅れや漏れも頻繁に発生していました。経理では、受領後にそれらを会計ソフトへ手入力し、さらに分析用資料をExcelで作成していました。しかし、6店舗分の請求書が一度に届くため作業が逼迫し、入力ミスが原因で手戻り作業が発生し、その結果、支払い遅延が生じることもありました。
私自身も本社向けの資料作成に追われ、分析は後回しになっていました。こうした各所での作業負荷や手戻りが重なった結果、月次決算が遅れ、問題発見や経営判断までが後ろ倒しになるという課題を長年抱えていました。正確かつ迅速な数値報告を実現するための打ち手は、Excel関数の活用や手順の見直しといった対症療法にとどまり、抜本的な解決策は見出せていない状況でした。
そんな中、コロナ禍で経営のスリム化が求められ、3人体制だった経理を2人体制へ移行することになりました。業務効率化が避けられない状況で出会ったのがBil Oneです。

変革は現場任せでは進まない。経営主導で進める必要があると考え、
私自身がサプライヤーに理解と協力をお願いしました

経営主導で進めた
請求書業務の標準化
現在、サプライヤーから直接Bil OneにアップロードされるPDFの請求書は、全体の約86%に達しています。開始当初は100%が「紙」の請求書だったものを、ここまで定着させるために、私自身がサプライヤーへ書面で案内を送り、説明会も開催して、新しい仕組みとしてBil Oneに直接請求書をアップロードしていただくよう、理解と協力をお願いしました。変革は現場任せでは進まない。経営が明確な意思を示し、主導する必要があると考えたからです。取引先の多くは個人事業主や小規模企業であり、手作業に慣れているため、急な変化に対するハードルが高いことは理解していました。
一方で、コロナ禍によりリモートワークを余儀なくされた際、多くの企業が請求書をスキャンし、自宅で処理する運用を経験しました。その結果、「会社に出社しなくても請求書処理は可能である」という認識が徐々に広がっていきました。だからこそ、「せっかくできるようになったのだから、これを新しい標準にしていきましょう」とサプライヤーに伝えました。
現在では店舗を介在させない効率的なフローを実現できています。今後はこの比率を95%程度まで引き上げていきたいと考えています。
“時間削減”から“質の向上”へ
Bill One導入後、現場・経理・経営それぞれに変化が生まれました。
まず現場の店舗では、Excelを使った業務や請求書の受領作業がなくなり、検品業務に集中できるようになりました。効率化によって生まれた時間は、店舗をより良くする取り組みに充てています。これまではワーキングアワーの削減を目標に改善を進めてきましたが、現在は「クオリティ・オブ・ワークアワー」、つまり同じ50時間でも、より質の高い50時間にすることを重視しています。
そのための取り組みの一つとして、5分・10分・15分といった短時間で実施できるトレーニングリストを作成し、スタッフのスキル向上に注力しています。実際に、キッチンスタッフがドリンク作りやレジ業務まで担えるようになるなど、多能工化も進みました。一方で、シンガポールでは職務範囲が明確なため追加業務と捉えられることもあり、いかに多能工化を当たり前のものとして定着させていくかが、今年の大きな課題です。
人員減の中でも安定して業務を回せる体制が整い、
月間約30時間の残業がゼロになり、長期休暇の取得も可能になりました

残業ゼロと有給休暇取得を実現
経理側での効果も大きく、一度にまとめて処理する必要がなくなっただけでなく、手入力作業がほぼなくなりました。その結果、月次決算資料の作成にかかる時間は大幅に短縮され、月間約30時間発生していた残業はゼロになっています。人員は減りましたが、2人同時に有休を取得したり、2週間の長期休暇も可能になるなど、安定して業務を回せる体制が整いました。
スタッフの意識にも変化が見られます。人事1名と経理2名にAI活用による業務改善を検討してもらったところ、「担当を分けるのではなく、3人全員が人事・経理を担えるようにしたい」という提案が出てきました。標準化による恩恵をスタッフ自身が実感した結果だと思います。
経営数値の早期把握で
人材育成にも寄与
経営面でも、月次決算が短縮されたことで経営数値をより早く正確に把握できるようになりました。以前は、役員会の約10日前に上がってくるドラフトの修正作業が膨大で、実質2~3日で日本語の報告資料を作成し、その後ようやく分析に着手するという状態でした。現在は、役員会の半月前にはドラフト、10日前には分析資料が揃うため、分析まで完了した状態で日本へ報告できています。
原価や人件費の管理についても、以前は時間的余裕がなく、私が分析して店長に方向性を示していましたが、現在は早い段階で数字の共有が可能となり、店長自ら分析に取り組む姿勢が生まれています。数字の意味や目的を理解しながら業務に取り組むことで、アウトプットの質も変わってくると思います。
最終的には、私が細かく指示をしなくても、Bill Oneを中心に現場と経理だけで業務や課題解決が回る状態を目指しています。
持続的な成長を支えるための標準化
今後は、フランチャイズ店舗にも標準化された業務フローを展開していきたいと考えています。各店舗が行っている業務は本質的に共通しており、私たちが経験した課題は、いずれ他店舗でも顕在化する可能性が高いからです。
Bil Oneの導入によって、手入力や煩雑な事務作業が削減され、本来注力すべき売上向上や顧客価値の向上にリソースを振り向けられる体制が整いました。同様の仕組みを共有することで、フランチャイズ店舗の持続的な成長を支える基盤を構築していきたいと考えています。
Bill Oneのおかげで、時間に追われて処理をこなす働き方から、
内容を確認し、分析し、改善につなげる働き方へと変化しました

Chan様 私はD&Nシンガポールで15年間、経理業務を担当しています。Bill One導入前は、各店舗で受け取った請求書を本部へ集め、手作業で整理・入力していました。請求書が途中で紛失するリスクもあり、回収から入力、会計処理まで多くの時間と手間がかかっていました。特に入力作業の負担は大きく、請求書処理には5~7営業日を要することもありました。
現在は、サプライヤーが直接Bill Oneへ請求書を送付するため、処理時間は約5分程度まで短縮され、業務効率と正確性が大きく改善しました。残業も大幅に減り、業務量への不安から取りづらかった長期休暇も安心して取得できるようになりました。実際に10日間の休暇を取ることもできました。効率化を通じて生まれた時間は、請求内容の確認やコスト分析に充てています。
誤請求に気づく機会も増え、サプライヤーへのフィードバックを通じてコスト改善にもつながっています。また、給与計算用レポートの作成など、人事部門との連携も進み、組織全体の状況を俯瞰して見られるようになりました。
請求書情報が一元管理され、誰でも支払い状況やコストを確認できるようになったことで、業務の透明性も向上しています。Bil Oneのおかげで、時間に追われて処理をこなす働き方から、内容を確認し、分析し、改善につなげる働き方へと変化しました。
Janet様 私はD&Nシンガポールで約20年勤務しており、現在は月次決算を含む経理業務全体の管理と財務プロセスの統括を担当しています。
Bill One導入前は、月末や繁忙期になると、請求書の収集や確認、ファイリングなどに多くの時間を費やし、精神的負担も大きい状況でした。また、請求書の受領や手入力の工程では人的ミスが発生しやすく、修正対応にも時間を取られていました。Bill One導入後は、請求書管理が一元化され、検索や確認が容易になりました。現在は、支払い前のチェックや照合作業など、より重要な業務に時間を使えるようになり、内部統制の面でも大きな改善を感じています。
また、店舗責任者やマネージャーも請求書情報を確認できるため、問い合わせ対応が減っただけでなく、サプライヤーへの支払いや原価管理への理解が進み、店舗側のコスト意識の向上にもつながっています。受領漏れや支払い遅延も改善し、取引先との関係性も安定しました。
現在では、月次締め後の業務も以前に比べて落ち着いて対応できるようになり、業務負荷は大きく軽減され、働き方そのものが大きく変わったと感じています。
※本資料は2026年3月に作成されました。掲載されている内容は作成時点の情報です。