タイで根強い紙文化をデジタル化月間400時間の経理業務削減と月次決算の加速を実現

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タイで根強い紙文化をデジタル化月間400時間の経理業務削減と月次決算の加速を実現

タイで根強い紙文化をデジタル化月間400時間の経理業務削減と月次決算の加速を実現

株式会社竹中工務店のグループ会社の1つであるThai Takenaka International Ltd.は、2024年に設立50周年を迎え、現在までに約2,000件の建設プロジェクトを手掛けてきました。紙ベースの業務が多く、課題となっていたアナログなタイの商習慣を、どのようにデジタル化へと進めていったのか。Bill Oneを活用したその取り組みについてお話を伺いました。

目 的
  • 紙業務の削減による請求書処理の効率化とコスト競争力の強化
  • 経理業務の可視化による人材育成の促進とガバナンス強化
  • 承認プロセスの最適化による決算業務の迅速化と正確性向上
課 題
  • 月2,000件以上の請求書処理による経理担当者の業務逼迫
  • 経理部門の分散と担当者の高齢化による人材育成の難化と低い定着率
  • 紙管理による書類所在不明、承認遅延、不備の発生
効 果
  • 月400時間の業務工数の削減と請求書業務の平準化を実現
  • 経理部門の集約で情報連携が強化、経理人材の育成がスムーズに
  • リアルタイムの状況把握で請求書の不備率を15%低減
[ お話を伺った方 ]

橘高 博志 様 / President
梶川 裕 様 / 国際支店 管理部 総務・人事グループ長
Kannika Kemapathumsak 様 / Administration Department, Accounting Group Manager
Kusuma Chumpoo 様 /Administration Department, Accounting Group Manager

コスト競争力の向上を目指し、
業務効率化と生産性の向上が求められました

事業内容について

Thai Takenaka International Ltd.(以下、タイ竹中)は、総合建設会社である竹中工務店のグループ会社の1つで、1974年にタイで設立された現地法人です。バンコクを拠点に50年以上建設事業を行っており、日本企業のタイ進出に伴う工場建設や進出支援、メンテナンス業務のほか、タイ企業や欧米企業の建設プロジェクトにも携わり、現在は工場以外の建築にも取り組んでいます。

現場や経理担当者の業務を
ひっ迫していた紙文化

梶川様 2015年にタイへ赴任しましたが、その時に驚いたのが紙での業務の多さでした。当時、日本やヨーロッパでも紙はまだ多く使用されていましたが、タイ竹中では請求書を月に2,000件以上受領しており、その90%以上が紙で、現場担当者や経理担当者の業務をひっ迫していました。

橘高様 2011年のタイ大洪水を契機に日本企業の投資が減少し、経営戦略の転換に迫られました。この時求められたのが“コスト競争力”です。

梶川様 タイでは建設業界における競争が激化し、企業間の価格競争や従業員の給与水準の上昇により、固定費の増加が経営上の大きな課題となっていました。こうした市場変化に適応するため、ガバナンスを担保しつつバックオフィス業務の生産性を高める必要があり、デジタライゼーションの推進が不可欠でした。その目の前にあったのが、山積みにされた紙の書類だったわけです。

点在する経理部門と高齢化で
進まない人材育成

梶川様 経理部門では、高齢化と世代交代が課題となっていました。建設業界特有の事情かもしれませんが、当社では現場ごとに経理担当者を配置し、会計処理を行う体制をとっていました。しかし、新規採用した人材をすぐに1人で現場に配属すると目が届きにくく、十分な育成ができません。その結果、定着率が低いという問題を抱えていました。そこでベテラン社員を配置することになりますが、すべての現場に配属することは難しく、いずれ定年を迎えて退職してしまいます。

さらに、紙を用いた業務が多いことで、書類の所在不明や承認プロセスの遅延といった非効率も目立ち、会社全体で生産性を向上させる必要がありました。

管理部門の書類のほとんどが紙。
それを削減したいという思いからスタート

目の前にある紙を削減して
デジタル化を推進

梶川様 管理部門での書類のほとんどが紙だったため、まずは日々の業務で使われている紙の削減からはじめました。先ほども申し上げましたが、現場が点在しているため、紙の書類の所在を確認するだけでも困難でした。さらに出張も多いため、承認者が不在の場合、戻ってくるのを待って承認していたので、決済までに長期間かかってしまい、サプライヤーや顧客を待たせてしまうという問題も起こっていました。また、締め日の直前に書類の不備が発覚することもあり、その場合、支払いや月次決算が遅れてしまうリスクも抱えていました。

橘高様 タイは紙文化が根強く、請求書も図面もなんでも紙。書類には全部サインをしなければならない。今回、そういう紙文化を一切やめましょうという流れが生まれ、2~3年かけて購買・調達や人事の勤怠管理をシステム化していきました。

梶川様 購買・調達や人事のシステム化については主語が我々なので、どうにでもなる。ただ、請求書については主語がサプライヤーになるので、我々でどうこうできる部分ではない。相手方に負担をかけずにシステム化するのは難しいのではないかと半ばあきらめていましたが、シンガポールの竹中工務店の事務所では、すでに電子化が進んでいました。

そこで、シンガポール拠点からBill Oneの営業担当者を紹介してもらいました。Bill OneならPDFや紙で届いた請求書をそのまま受領し、自動的にデータ化する仕組みを持っています。サプライヤー側は今までどおりの運用で負担をかけずに、我々は紙の削減ができる。両方の課題を解決できるシステムでした。請求書の業務フローをデジタル化できると確信し、Bill Oneの導入に至りました。

Bill Oneの導入で月に約400時間、
年間で約4,800時間の新たな時間を創出できました

経理部門の集約で生産性向上を実現、
社員のワークライフバランスも向上

梶川様 PDFや郵送など、さまざまな方法・形式で届いていた請求書をBill Oneに集約し、受領した請求書をクラウド上で一元管理できるため、経理部門のテレワークやペーパーレス化の推進にもつながりました。

具体的には、以前は紙ベースで拠点間を跨いで行っていた請求書の受け取りから支払い申請、承認までの業務をBill One上で一気通貫で実施することが可能になりました。また、会計システムにも連携できるようになり、経理担当者がオンライン上でリアルタイムに処理状況を確認し、早期に請求書の不備を発見できる体制を確立しました。さらに支店や建設現場にも配置していた経理担当者を全員本社に集約することが可能となり、経理担当者間の情報連携や経理人材の育成がスムーズに実施でき、生産性向上を実現しました。

Kannika Kemapathumsak 様

Kannika様 Bill One導入前は、請求書の承認や検証を紙ベースで行っていたため、プロジェクトマネージャーの承認が遅れがちでした。請求書は月に2,000件ほどあり、300社以上の下請け業者と処理しなければならず、7人の担当者で対応するのは困難を極め、常に紙の山に埋もれる状況でした。Bill One導入後はシステム上で処理ができ、月に約400時間、年間で約4,800時間の新たな時間を創出するとともに、月次決算の加速を実現しました。社員もワークライフバランスが良くなったと実感しています。

Kusuma Chumpoo 様

Kusuma様 Bill One導入前は紙ベースの会計処理が主流で、締め切り前には本社に書類を直接届ける必要がありました。書類の保管用にコピーも行わなければならず、多くの時間と労力を要していました。Bill One導入後、社内ではスタッフの生産性とパフォーマンスが大幅に向上しました。また、会計、販売、運用データなどのさまざまなデータソースを統合し、AI技術を活用した財務データの分析なども行えています。

発注データ照合機能を活用し、請求書と発注書のアナログ照合作業をゼロに。

Bill Oneが約1,900件(=月次合計の95%)の請求書と発注データをAIで自動照合することで、確認作業の負荷と時間コストは大幅に削減され、経理担当者はノンコア業務と呼ばれる反復的な作業から解放されました。さらに、照合済みのデータにより購買データの流れを可視化できるようになり、予算分析やコスト管理への活用が可能になりました。

少子高齢化が進むタイでは、
日本同様、省人化に向けたDXの推進が必要です

経理担当者が経営に必要な
「Business Partner」になる

梶川様 請求書業務をデジタル化した結果、現在は経理担当者がより迅速に業務を行うことができています。今後は、Bill Oneによって創出した時間で、経理担当者が決算データを素早く収集、分析し、経営に必要な示唆を行える役割を担っていく「Business Partner」となることを目指しています。そして、企業として正確かつ迅速な経営判断を行い、市場と顧客に価値を還元していきたいと考えています。

橘高様 タイももう高齢化が始まっています。少子高齢化が進み、どんどん人が少なくなっていきます。日本と同じで、タイでも省人化に向けたDXも必要になってくる。Bill Oneのさらなる活用をはじめ、そのための取り組みを進めていきたいですね。

請求書業務のデジタル化が評価され「Sansan Innovation Award 2024」受賞

Sansan株式会社のDXサービスを活用し、自社のビジネスや働き方に変化・イノベーションを起こしたユーザー様を表彰する「Sansan Innovation Award」。タイ竹中は、「Sansan Innovation Award 2024」を受賞しました。Bill Oneの導入により、紙文化が根強いタイ国内の業務スタイルをデジタル化し、業務効率化を実現。請求書のデジタル受領が一般的でないタイ市場において、大きな働き方変革を起こした事例として評価されました。

橘高様 本当にうれしいですね。誇らしく思います。梶川さんとKannikaさんはいろんな抵抗がある中で苦労したと思いますが、強い信念とリーダーシップで従業員の賛同を得て、請求書業務のデジタル化を実現したという実績が評価されたと思います。

※本資料は2025年10月に作成されました。掲載されている内容は作成時点の情報です。